ドナーリンク・ジャパン
ドナーリンク・ジャパンは、日本で精子提供や卵子提供で生まれた人と過去に精子や卵子を提供した人、さらに同じ提供者から生まれた人同士を結び付けることを支援することを目的に発足しました。
親御様が国内外の医療機関や精子・卵子バンクを利用したり、SNSを通して知り合った方や親戚・知人から提供を受けて生まれた15歳以上の人、また国内外の医療機関や精子・卵子バンクで精子や卵子の提供の経験がある人に、会員登録していただき、生まれた人同士や提供者同士、同じ立場の当事者と交流できる場をつくり、生まれた人や提供者に有益な情報を提供したいと考えています。
そして、当面の間は日本国内の医療機関での提供で生まれた15歳以上の方と、日本国内の医療機関に精子を提供された方に限定されますが、ドナーリンクも実施していきます。
私たちはドナーリンク(結び付け)を通して、日本社会の一般の方にも自己の遺伝情報を知る権利(出自を知る権利)の重要性を啓発し、提供型生殖補助医療の抱える課題の解決を目指しています。
出自を知る権利とは
精子提供や卵子提供で生まれた人にとっての「出自を知る権利」とは、自分がどのように生まれてきたのかを知り、かつ自己の遺伝情報を知る権利のことです。日本で長く行われてきたAID(匿名の第三者による精子提供で非配偶者間人工授精と言われている)では提供者は匿名とされ、AIDを行ったこと自体を秘密にすることで技術は70年以上続いてきました。しかし近年、生まれた人がその事実を知り、提供者について知りたいと声を挙げ始めています。
海外では
国際的にも精子提供や卵子提供で生まれた人たちの出自を知る権利が、重要な人権と捉えられるようになってきています。1989年に国連は『子どもの権利に関する条約』(通称:子どもの権利条約)を採択し、1990年にこれを発効しています。
この『子どもの権利条約』の7条には、「できる限りその父母を知る権利を有する」とあり、日本もその条約に1994年に批准しています。海外では1990年前後より、精子提供で生まれた人たちの間から、提供者の情報を求める人には、情報を提供してほしいという声が聞かれるようになりました。こうした訴えを受けて、出自を知る権利を法律で保障するところも出てきています。
日本では
現在日本でも出自を知る権利についての法整備の議論が行われています。出自を知る権利は生まれた人の権利であり、いつ、どんな情報を知りたいのかは生まれた人の意志により選択できることが重要だと考えています。
しかし、ドナーリンク・ジャパンにおいて行うドナーリンクでは、精子や卵子の提供時点では匿名を前提に行われていた場合がほとんどであり、今回過去の提供者に情報の登録を求めるにあたっては、あくまでも任意の登録であることをふまえ、開示する範囲等については、提供者の意志を尊重し、進めていく形をとっています。
メンバーMember
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代表理事
仙波 由加里 Yukari Semba
代表理事仙波 由加里 Yukari Semba
AIDや卵子提供、代理出産などの問題をバイオエシックスの視点から20年以上研究してきました。特に諸外国の提供精子や提供卵子で生まれた人の出自を知る権利を求める動向や法律、ドナーリンクの実践について調査してきたので、この知識を活動に活かしたいです。(設立メンバー)
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理事
久慈 直昭 Naoaki Kuji
理事久慈 直昭 Naoaki Kuji
AIDを中心に提供精子・卵子を用いた医療に関わり、また子どもが自分の遺伝情報を知る権利(「出自を知る権利」)について海外諸国を調査してきました。治療する医師の立場から活動に参加します。(設立メンバー)
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理事
石塚 幸子 Sachiko ishizuka
理事石塚 幸子 Sachiko ishizuka
匿名の第三者からの精子提供(AID)で生まれた当事者です。自身の提供者、異母きょうだいにいつか会ってみたいと思っていました。生まれた当事者としてずっとやりたかったことが実現しました。(設立メンバー)
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監事
仙波 哲夫 Tetsuo Semba
監事仙波 哲夫 Tetsuo Semba
工学博士、ホームページおよびデータ管理担当。個人情報の漏洩がないようにデータを管理することが非常に大事だと思っています。皆様の信頼に応えられるように努力したいと思っています。(設立メンバー)
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才村 眞理 Mari Saimura
才村 眞理 Mari Saimura
精子や卵子提供で生まれた子ども(人)や施設・里親・養親宅で暮らす子どもと行うライフストーリーワーク(生い立ち整理)の活動中です。出自を知る権利の擁護活動とも言えます。社会福祉士の立場でドナーリンクする人たちの仲介支援をしていきたいと思います。(設立メンバー)
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森 和子 Kazuko Mori
森 和子 Kazuko Mori
養子縁組親子の親子関係構築過程を長年に渡りお聞きするなか、精子提供で生まれた方たちと出会い、抱える課題や苦しさは養子の方とも共通することがわかり、サポーターとして活動を続けています。
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柘植 あづみ Azumi Tsuge
柘植 あづみ Azumi Tsuge
出自を知る権利について学んだのが30年前、日本で声を挙げた当事者を応援したいと思ったのが20年前です。まだ社会変革には至らないですが、当事者の気持ちを伝えるお手伝いをしたいと思います。
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倉橋 浩樹 Hiroki Kurahashi
倉橋 浩樹 Hiroki Kurahashi
小児科医、臨床遺伝専門医で、ふだんは遺伝カウンセリングの診療において、遺伝学的検査の結果の複雑な科学的内容を、一般の人にもわかりやすい言葉で説明しています。
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青木 紀久代 Aoki Kikuyo
青木 紀久代 Aoki Kikuyo
現在社会的養護の分野で心理臨床を行っています。自分の人生の物語をしっかりと携えて生きていきたい。人としての権利でもあり、生き難さでもあるこの気持ちを大切に応援したいです。
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由井 秀樹 Yui Hideki
由井 秀樹 Yui Hideki
大学院生のときから出自を知る権利に関心を持ち、当事者の方へのインタビュー調査や、配偶子提供の歴史を研究などについて研究してきました。微力ながら、ドナーリンク・ジャパンの運営の一翼を担えればと思っています。
法律アドバイザー
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弁護士
高橋 良 Ryo Takahashi
弁護士高橋 良 Ryo Takahashi
髙橋良法律事務所
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弁護士
平原 興 Ko Hirahara
弁護士平原 興 Ko Hirahara
県庁通り法律事務所