毎日新聞 2023年6月20日 掲載されました
生殖補助医療 「出自を知る権利」を限定すべきでない理由とは
第三者から提供された精子や卵子を使った生殖補助医療のあり方について、国内にはルールを定めた法律がない。既にこうした生殖補助医療を受けて子どもを産んだ夫婦やカップルは多いが、提供者が誰なのかを子どもが知る権利をどう保障するかなど、課題は山積している。
一方、生殖補助医療を巡って、超党派の議員連盟はルール作りなどを定めた新法の制定を目指している。2022年3月には「第三者から精子や卵子の提供を受けられるのは、法律上の夫婦に限定」「提供者の情報を公的機関(独立行政法人)に集約し、100年間保存」などとする新法のたたき台をまとめた。これを踏まえて議論しているが、各党内で調整がついておらず、法案はまとまっていない。
法律の整備など、どのように解決したらいいのか。3回にわたって識者と考える。
仙波由加里・お茶の水女子大研究協力員
――精子や卵子の提供の現状について教えてください。
◆日本では精子や卵子の提供者は原則匿名とされてきました。海外でも初めは提供者は匿名でしたが、生殖補助医療で生まれた人たちが提供者の情報を知りたいと声を上げはじめ、近年は出自を知る権利を保障するところが増えています。
つづきは https://mainichi.jp/articles/20230619/k00/00m/100/168000c