提供型生殖補助医療について

配偶子提供で生まれた人たちの出自を知る権利

2023年3月現在、配偶子提供で生まれた人が氏名を含む提供者情報を取得することを法律で保障している国は、世界に少なくとも22カ所あります。この多くの地域では、法の施行後に生まれた人についてのみ、提供者の非匿名情報を得る権利を認めています。しかし、オーストラリアのヴィクトリア州と、南オーストラリア州では、生まれた人が望めば、親が提供を受けた時期や自身が生まれた年に関係なく、提供者の氏名を含む情報を得ることができます。

出自を知る権利を法律で保障している国や地域

スウェーデン、オーストリア、スイス、ノルウェー、オランダ、ニュージーランド、イギリス、フィンランド、アイルランド、豪ヴィクトリア州、豪西オーストラリア州、豪ニューサウスウェールズ州、豪南オーストラリア州、米国ワシントン州、アルゼンチン、クロアチア、ウルグアイ、ドイツ、フランス、ポルトガル、デンマーク、米国ロードアイランド
(計22カ所)

(文責:仙波由加里)

豪クィーンズランド州でも、現在、提供者の匿名性を完全に廃止し、提供した時期に関係なく、 生まれた人が提供者情報を得る権利を保障する法律の作成が進められている。(VARTAからの情報)

米国カリフォルニアでは、 Health and Safety Codeの1643条の改定および1644条の追加で、配偶子バンクの認可を規定し、提供者情報の管理を厳格化しようという法案が2022年8月31日可決。その目的は配偶子提供で生まれた人の健康と福祉のためで、 2024年1月から施行される予定。ただし、生まれた人には提供者が同意する場合にのみ、提供者の氏名を含む識別情報が提供されるという内容になる予定。(California Code, 2022)

米国コロラド州では2022年8月に配偶子提供で生まれた人とその家族保護法(Donor-Conceived Persons and Families of Donor-Conceived Persons Protection Act)が可決され、2025年1月1日から施行される予定。

  • 精子や卵子の提供者は21歳以上でなければならない
  • 精子提供者は、25家族を上限に提供できる
  • 卵子提供は、最大で6回までとする。ドナーの医学的リスクによっては、提供回数はもっと少なくする)
  • 精子バンクと卵子バンクは、各ドナーが関与した出産を追跡することを義務付ける
  • この法律は遡及しない

米国ニューヨーク州でも、Donor-Conceived Person Protection Actを検討中。18歳以上の配偶子提供で生まれた人は、提供者の同意があれば、提供者の氏名を含む情報を得られるという内容(匿名性を完全廃止する内容ではない)。(Trachman 2022)

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